2006年7月5日(水)「しんぶん赤旗」

ごみ焼却炉談合 各地で判決

損害 契約額の 5―7%

メーカーに返還命令


 大手メーカー五社が公正取引委員会から排除勧告を受けたごみ焼却炉施設の談合にからみ、各地の住民らが「談合によって不当に高い落札価格となり、損害を受けた」などとして、損害額の返還を求めている訴訟で、談合各社に返還命令が相次いでいます。このなかで、自治体などの発注者の損害額を工事請負契約額の「5%」「7%」と認定するなど、談合によって税金が無駄遣いされている実態が浮かび上がっています。


 各地で訴えられているのは、日立造船(大阪市)、川崎重工業(神戸市)、タクマ(兵庫県尼崎市)、JFEエンジニアリング(旧日本鋼管、東京)、三菱重工業(東京)の五社など。

 公取委は、五社が一九九四―九八年に計六十件の入札で談合を繰り返したとして、独占禁止法違反で九九年に排除勧告を出しました。ところが、五社は「談合はなかった」として応諾を拒否。公取委は二十五回の審判を経て、六月二十八日、改めて独禁法違反を認定、談合行為をやめるよう命じる審決を出しました。

 こうしたなか、住民や市民オンブズマンによる損害賠償訴訟が全国で十三件起こされています。このうち、昨年八月、京都地裁が、京都市の損害額を5%と認定する判決を出したのを皮切りに、ことし六月二十一日の横浜地裁まで五つの原告勝訴の判決が出ています。(表参照)

 注目されるのは、四月二十五日の福岡地裁判決です。

 判決は、五社が談合を行っていた九四年四月一日から九八年九月十七日までの間、全国で行われたごみ焼却炉の指名競争入札、八十七件のうち、予定価格が判明している八十四件について分析。五社のうちいずれかが落札した物件と、五社以外の企業が落札した物件の落札率(予定価格に対する落札額の割合)を比較しています。

 これによると、五社以外が落札した物件の平均落札率89・8%に対し、五社のうちいずれかが落札した物件の平均落札率は96・6%でした。談合すると、平均6・8%高くなるというわけです。

 判決は、「その他本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、被告五社の談合により福岡市の被った損害額は、契約額の7%に相当すると認めるのが相当」として、約二十億八千八百万円を市に返すよう五社に命じました。

 六月二十一日の横浜地裁判決は、談合が行われたと推認することができる四十七件の平均落札率98・35%に対し、公取委の立ち入り検査(九八年九月十七日)以降に行われた四件の入札の落札率を比較しています。

 広島市が発注し、三菱重工が落札したケースの88・78%など、四件の落札率は74・33―90・37%で、立ち入り検査前の入札より相当な差があります。

 判決は、「明らかな格差があり、談合が行われた場合には、落札率が上がり、発注者に損害が生じることは明らかというべきである」として、契約金額の「5%相当」の返還を命じました。

 また、さいたま地裁を除く四判決は、いずれも発注者である福岡市などの自治体や多摩ニュータウン環境組合が談合メーカーに損害請求をしないのは、「違法」と認定しています。

表

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